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引幕図案見本帳とは

引幕図案見本帳とは、明治期の芝居に贈られた広告入り引幕の意匠をまとめた一冊で、中央区登録の区民有形文化財です。化粧品や家庭常備薬の商標、劇場や俳優の名が残り、商業と舞台が重なった様子を伝えます。

明治の広告と芝居をつなぐ一冊

資料は1冊で、年代は明治期と推定されています。1994年4月1日に登録され、所在地は新富一丁目の中央区立郷土資料館。

引幕は舞台正面で左右に動かす仕切り幕で、上下に開閉する緞帳とは動きが異なります。この見本帳は、実物の幕ではなく、幕の布地へ施す広告デザインを選ぶための冊子です。

和綴じの冊子には、団扇や浜千鳥、菱形、楓葉、松など10種類以上の図柄枠取りがあります。その中へ描かれた淺田飴や太田胃散、花王石鹸、ライオン歯磨などの商標は180種類以上。

奥書には贈呈主の「二可三連」、都座・市村座、贔屓の俳優たちの名も確認できます。市村座や江戸三座の歴史と合わせると、芝居小屋が上演の場だけでなく、商品と人を結ぶ広告空間でもあったことが見えてくるでしょう。

日本橋花街泉鏡花「日本橋」板絵着色お千世の図額 附目録へ読み進めると、舞台や花街をめぐる文化が広告・文学・美術にどう残ったかを別々の角度からたどれます。

日本橋トピック♪「二可三連」は薬のことわざから生まれた

贈呈主の団体名「二可三連」は、佐々木商店を元締とする売薬・化粧品関係者の集まりでした。その名は「良薬は口に苦し」の「にがみ」に由来します。薬の広告を載せる引幕に、ことわざをひねった団体名まで記されたのです。

引幕図案見本帳に関するよくある質問

引幕図案見本帳は、実際に劇場で使われた幕ですか?
幕そのものではなく、引幕に施す広告デザインをまとめた和綴じの見本帳です。図柄枠や商標を組み合わせ、どのような幕を作るか検討する役割がありました。
なぜ薬や化粧品の商標が芝居の幕に載ったのですか?
売薬・化粧品の問屋や製造元の団体が、贔屓の劇場や俳優へ広告入りの引幕を贈ったためです。舞台を支援しながら商品名も広める、商業と芝居が結び付いた広告でした。

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