トロ握りとは
トロ握りとは、まぐろの脂が多い腹身をすし飯にのせたにぎりずしです。日本橋では、1879年(明治12年)創業の吉野鮨本店がトロを握りにした店の物語を伝え、江戸前寿司の変化を今に残しています。
江戸の鮨では赤身が主役だった
国立国会図書館の解説によると、江戸時代のまぐろは脂の多い部分が好まれず、赤身を醤油漬けにして食べていました。冷蔵設備がない時代の江戸前寿司は、生魚をそのままのせる料理ではなく、煮る、締める、漬けるといった仕事で味と保存性を整える食文化だったのでしょう。
吉野鮨本店の公式説明によると、鮪の腹身はねぎま汁に使われたり廃棄されたりすることが多く、生で提供するようになってから脂身の「アブ」や段だら模様の「ダンダラ」と呼ばれました。敬遠された部位が人気の寿司種へ変わる転機だったといえるでしょう。
日本橋の老舗が伝えるすし飯
吉野鮨本店は、粕酢(赤酢)と塩だけで仕立て、甘味を一切加えないすし飯を創業以来の作り方として案内しています。トロの脂を味わう一貫にも、この江戸前の流儀が重なります。
「トロ握り」は魚の種類名ではなく、まぐろの部位と握りの形を組み合わせた料理名。日本橋魚河岸の記憶やにぎりずしの歴史と一緒に見ると、単なる人気ネタ以上の背景が見えてくるかもしれません。
日本橋トピック♪「トロ」は口の中の感覚から生まれた?
吉野鮨本店は、客との会話に出た「口の中でとろけるようだ」という言葉から「トロ」と名付けたと伝えています。魚の正式な部位名ではなく、食べた瞬間の感覚が呼び名になったという店の伝承。
トロ握りに関するよくある質問
- トロ握りは江戸時代から人気だったのですか?
- 国立国会図書館の解説では、江戸時代は脂の多いトロより赤身が好まれ、醤油漬けで食べられていました。トロ握りは、江戸前寿司の好みや保存環境が変わった流れを映す一貫です。
- トロ握りと漬けまぐろはどう違いますか?
- トロ握りは脂の多い腹身を使う一方、江戸で親しまれた漬けまぐろは主に赤身を醤油に漬けたものです。使う部位と下ごしらえの両方に違いがあります。
- 吉野鮨本店の握りにはどんな特徴がありますか?
- 公式案内では、粕酢(赤酢)と塩だけですし飯を仕立て、甘味を一切加えない作り方を創業以来受け継いでいます。トロだけでなく、すし飯にも江戸前の仕事が表れています。

