平野活版製造所製造の活版印刷機とは
平野活版製造所製造の活版印刷機とは、明治前期に平野富二が開発・製造した国産の平圧式活版印刷機で、中央区登録の区民有形文化財です。文字を組み、紙へ圧力をかけて刷る仕組みを実物で伝えます。
中央区公式の文化財名称:平野活版製造所(平野富二)製造の活版印刷機
手動プレスに近代印刷の仕組みが残る
資料は1台で、年代は明治10年(1877年)頃。高さ約170cm・幅約70cm・奥行約90cmの鉄製機械です。2007年4月1日に登録され、所在地は入船二丁目9番2号。
形はイギリスで開発されたアルビオンプレス型を模しています。活字を組んだ版へインクを載せて紙を置き、レバーを引いて圧力をかけ、文字や図を転写する仕組みです。木版のように一枚の版を彫るのではなく、活字を組み替えて別の文章を刷れる点に大きな違いがあります。
本体上部の3カ所にあるのは、円の中へHを入れた登録商標。引幕図案見本帳や岸田吟香謹製鐵飴煎の看板が広告の表現を伝えるのに対し、この印刷機は印刷物を生み出す機械の側から明治の情報文化を見せてくれます。
長谷川春子作挿絵の原画及び素描は印刷前の絵の原資料です。日本橋三越本店のパイプオルガンと並べると、中央区の文化財には文書や建物だけでなく、絵・音・印刷を支えた技術も残されていると分かります。
印刷文化の流れをたどり、江戸の版元・蔦屋重三郎と店の耕書堂から明治の機械印刷へつなげて読むと、出版を支えた人・店・技術の違いはどう見えるでしょうか。
日本橋トピック♪印刷機を作った場所は造船所だった
この印刷機は、平野富二が1876年に開設した石川島平野造船所の機械製造部門で作られました。印刷と造船は別分野に見えますが、鉄を加工して精密な機械を作る技術が両者をつないでいます。
平野活版製造所製造の活版印刷機に関するよくある質問
- 活版印刷機と木版印刷は何が違いますか?
- 木版は一枚の板に文字や絵を彫りますが、活版印刷は一文字ずつの活字を組み合わせて版を作ります。活字を組み替えれば、別の文章を繰り返し印刷できます。
- なぜ活版印刷機が造船所で作られたのですか?
- 平野富二が開いた石川島平野造船所には機械製造部門があり、この印刷機もそこで製造されました。鉄を加工し、圧力を正確に伝える機械を作る技術が生かされています。

